年金基金資産運用の新方策
(ニューノーマル)を探るーⅦ

~新型コロナ・ウクライナ侵攻後の年金資産運用~

by マーケットメーカーズ

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コンファレンス開催報告(後記)

第15回JPCコンファレンスを、8月25日に開催しました。生憎コロナ第7波で参加者数は限られましたが、パネルディスカッションや懇親会も行い、講演者及び参加の皆様の意思疎通は深まったと思います。
 

1)    市場環境の現状認識
ラッセル金武氏とアライアンスバーンスタイン(AB)後藤氏とも、「超金融緩和(異常低金利)終焉とインフレ時代へのパラダイムシフト」という認識は共通でした。資産運用に与える影響については、金武氏は、「超金融緩和(過剰流動性)で分散効果が低減していたが、今後は、分散効果も回復する。しかしそれを享受するには、「意味ある資産分散」と「アクティブ運用の活用」が必要。」とのご意見でした。後藤氏は、「インフレ時代は株式:債券の分散効果は低下、ここ数年の株式:債券の逆相関は長い歴史ではむしろ異例。株式、債券との相関の低いオルタナ導入が必要」とのご意見でした。(少し、分散効果についての分析結果は異なるようですが、資産名に捉われない真の意味のある分散投資が重要との意見は同一。分析が異なる原因は、過去実績の対象期間が、2002年以降: 1763年以降、相関の測定期間が、1年単位:10年ローリング等、相関係数も色々ある、数字を鵜呑みにしない心構えが必要?)

2)具体的投資戦略の紹介
・AB後藤氏:「ABカーバル社のクリーンエネルギー戦略」・・電気料金は伝統的資産との相関は低い、ロシアに依存しないエネルギー調達ニーズは高まり、この分野の資金需要は増大する。
・アリアンツ神頭氏:「生保一般勘定代替としての運転資金ファイナンス」・・主に中小企業の売掛金への投資、検品後は買い手大手企業のリスクになるので収益も安定、変動金利で超短期、為替リスクも回避可能で、「生保一般勘定代替」に適している。
・Fハーミス社堀井氏他:「ESGを取り入れた株式投資」・・従来手法とESG(非財務情報)を統合した手法は、銘柄選択の高度化である。ESGの中でもガバナンスを考慮しガバナンスが良くない企業を回避することは継続的に有効で、ウクライナ侵攻の影響等の逆風が吹く中でもESGは依然有効。


3)パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、講演で年金基金がもう少し聞きたかったと思われる点を質問し、金武様や運用会社それぞれの立場でお答え頂きました。

コンファレンスの概要は以上です。下記には、私の講演やパネルを聞いた率直な感想等を列挙します。反論も含め、ご意見頂ければ幸いです。(株式会社マーケットメーカーズ、コンファレンス事業部、アドバイザー矢野。(yano@marketmakers.jp
 

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・インフレ到来、パラダイムシフトとの指摘があったが、やはり事前に何時起きるかの予測は困難か?
(「異常な事態である」との分析は可能だが、それが何時修正されるかは誰も判らない?)


・従来から「順風満帆の平時に、次の異常事態に備えるべき」と提唱してきたが、実行するのは難しい?
(今回提案の戦略等を採用したら、株式投資が多い年金に対して、過去10年は収益劣後が続いたはず?)


・運用戦略変更のタイミングが難しいならば、我慢が大事、毎年の収益に一喜一憂?するのは止めよう。
(長期的視点とはこういう事か? マラソンなのに、1㎞毎のタイムを気にしすぎるのは?)


・規制緩和や技術進歩による、時代の変化には柔軟に追随する事も必要か?
(オルタナ採用は、もう今は当たり前になった?日常生活でスマホを使うのと同じことでは?)
(スマホも進化している、資産運用でも新しい道具や機能は、コストや信頼性を考慮して取入れる方が良い?)


・理論的に無理な事は続かないといった厳しい現状分析も苦しくても受入れ、次善の策を探すべき。
(生保一般勘定のように、元本と利率保証がある資産では、余り高い収益は望めないのは当たり前)
(今の国内金融事情では、国内プライベートデット戦略に年金が投資出来る可能性は低いと思われるので、国内で確保できるより高い収益を確保する為には、海外に目を向ける必要=為替リスクには注意が必要)


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不透明な環境での投資原則は、「長期」、「分散」、「積立」と言われていますが、具体的対応策策定に悩んでおられると思います。これさえやれば解決するという策は無さそうですが、今回のコンファレンスが、皆様の悩み解消のヒントになれば幸いです。
各講演、パネルディスカッションの様子は後日録画で配信します。参加出来なかった皆様、もう一度内容を確認したい方は是非ご覧ください。又、講演、パネルの要点をまとめた「講演報告」も弊社ホームページに掲載します。又、講演内容についての御照会先も記載しますので、各社にお問い合わせ願います。