JPCオンライン 第7回開催報告
 

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年金基金資産運用の新方策
(ニューノーマル)を探る-Ⅴ
~先進的欧州ESG投資のご紹介~
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佐藤充弘氏
メッツラー・アセット・マネジメント株式会社
クライアント・サービス部長

348年以上の歴史を有するメッツラー・グループがアセット・マネジメント業に進出したのは1871年で、現在のメッツラー・アセット・マネジメントGmbH(以降、メッツラー)として資産運用業を営むようになったのは1995年のことである。その長い経験から、欧州投資家の倫理観、価値観から生まれた投資制限への対応にはメッツラーは一日の長がある。

 

メッツラーでは、ESGはかくあるべき、と投資家に押し付けるスタイルは取っていない。ESGを戦略に統合していても、ベンチマーク対比のパフォーマンスが悪ければ他社と同じように解約される対象となるのである。その上で、メッツラーでは全ての戦略に「メッツラー・ベーシック・サステナビリティ」というESG基準を標準装備させているが、重要な点は「メッツラー・ベーシック・サステナビリティ」で行う「排除基準」「ESGインテグレーション」がリスク・リターン上の改善を目指したものになっている点である。

 

「排除基準」「ESGインテグレーション」が、ポートフォリオのリスク・リターンに改善効果が期待できるかを専門チームが分析するとともに、改善効果が期待できると確認できたESG要素を、銘柄選択を行う上で情報として使用しやすくするため、自社開発ツール「ESGダッシュボード」が運用者によって活用されている。また、この標準装備の「メッツラー・ベーシック・サステナビリティ」によって、メッツラーの戦略の6割以上が欧州サステナブル・ファイナンス開示規則(SFDR)における第8条に登録されており、ESGの質としても欧州の規制の上で認められた内容になっている。

 

一方で、メッツラーの顧客基盤には、教会、教会年金基金、環境NGO団体を支援する財団など、環境、倫理観について強い信念を持つ投資家が多く存在する。こうした投資家にとっては「メッツラー・ベーシック・サステナビリティ」は十分ではなく、より厳格な投資制限や目的を運用戦略に反映させる必要がある。こうした需要に対しては、特別に反映させるべきESGのパーツをモジュール方式で投資方針に加えることによって対応している。より厳格なESG要素を運用方針に入れる場合でも、パフォーマンスへの影響についての考察は重要であるとメッツラーは考えている。

 

「グローバル・エシカル・バリュー」

ここで例示する運用手法は、「メッツラー・ベーシック・サステナビリティ」よりもESG基準が厳格で、前述した教会や環境NGO団体を支援する財団などにも許容されるレベルのESG基準を有している。メッツラーでこの運用手法により昨年から運用開始をしたファンドは、SFDRにおいて、第8条より厳格な第9条で登録されている。

 

この「グローバル・エシカル・バリュー」による手法では、厳格かつバランスの十分考えられたESG対応がなされている。昨今、気候問題への関心の高まりから、運用戦略にはCO2排出量削減のみを集中的に考慮された戦略が散見される。こうした戦略の中には、パフォーマンスやCO2排出量削減に関しての目的は達成されているが、問題のあるビジネスやガバナンスリスクを抱えている企業が多く含まれるものもある。「グローバル・エシカル・バリュー」では、倫理観・価値観においては教会投資家にも通用する厳格さで、かつ、気候問題に関してもパリ協定との整合性を保ちつつ、リターンもMSCI World指数をアウトパフォーマンスさせようと考えるものだ。

 

「グローバル・エシカル・バリュー」における銘柄選択プロセスのコンセプトは、非常に単純で、決められたルールに従い、排除基準のみに従って銘柄を絞っていくやり方である。しかし、実際は、厳格な基準で大きい銘柄数を排除した上で、国別アロケーション、セクター別アロケーションなどをベンチマークに合わせ、CO2排出量削減も達成し、トラッキングエラーも2~3%にする、というクオンツ・アクティブの性質が求められる。

 

このアプローチはグローバル・エシカル・バリュー指数のパフォーマンスを目指すことになる。グローバル・エシカル・バリュー指数はSolactiveを指数計算会社としてハノーバー取引所に上場されているが、メッツラー、MSCI、Solactive、ハノーバー取引所、NKIといった企業との共同プロジェクトにより誕生している。試算による過去10年のこの指数とMSCI World指数との比較では、グローバル・エシカル・バリュー指数の方が年率2.55%のアウトパフォームとなっている。

 

このアウトパフォーマンスの背景となるのは、排除されているカテゴリーが長期にわたってベンチマーク指数に対しアンダーパフォームしているものが多いこと、それぞれの排除カテゴリー間のベンチマーク対比リターンの相関がうまく-1から1の間で分散していること、がある。これらは、景気循環の中で安定的なアウトパフォーマンスを期待させる内容である。

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なお、講演後に、主に以下の質問と回答が行われた。

1.質問1
プレゼンのP19で原子力を排除していますが、その理由は?(新聞記事でEUタクソノミーでは、原子力を「脱炭素に貢献する電源」基準を満たすとの見解を読みましたが、それでも排除ですか?) 

(回答) 
原子力については欧州でも議論があります。賛成派の意見は、二酸化炭素排出に関してはクリーンなのではないか、完全な再生エネルギーへの転換をするまでの移行期に必要なエネルギー源ではないか(トランジッション・エネルギー)というもの。反対派は、人間がコントロールできていない危険なもの、二酸化炭素よりも有害な生成物を事実排出している、といったところです。当戦略では環境に配慮する点において環境面での論争のある事業に該当します。原子力に限らず、タバコやアルコールや堕胎などについても、厳しい倫理観(エシック、エシカル)寄りにとらえることを目的にしています。

2.質問2 
プレゼンのP26ではセクター、国別配分のウエイト配分が表示されていましたが、代表的銘柄は開示可能ですか?ポートフォリオのイメージを掴むうえで、教えて頂ければと思います。又、特にIT比率が高くなっていましたが理由はありますか? 

(回答) 
現在ポートフォリオに入っている銘柄についてのデータは開示しておりませんが、パフォーマンスの目標指数(グローバル・エシカル・バリュー指数)の上位銘柄の常連としては、PEPSICO、Home Depot、NVIDIA、AMGEN、VISA、CISCO Systems、などが入っております。またアンダーウェイト(除外により保有無し)の中にはApple、Microsoft、Alphabet、Amazon.com、TESLAなどが含まれます。これら銘柄は、企業行動や労働基準の項目などが問題になっています。

 

お問合せ:
メッツラー・アセット・マネジメント株式会社
https://www.metzler-asset.co.jp/ja/metzler-japan
クライアント・サービス部 
mamj-marketing@metzler.com

 

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  • ESG投資が実際にリターンを増加させたり、ポートフォリオのリスクを軽減したりすることを示唆または保証するものではありません。